チップ(心づけ)のお話
文房具はついつい集めてしまいますが、中でも気づけばたくさんあるのは、
お金を入れる袋。
ポチ袋やご祝儀袋はついつい買って集まってしまいます。
お金をむき出しで渡さないほうがいいといわれるので、例えば
神社のお賽銭もご祝儀袋に神恩感謝と書きそえて・・・
旅館の仲居さんへの御礼はポチ袋に・・・
また、友達との旅行代金や食事会の清算の時など・・・
大衆演劇のスターの懐に「お花」を・・・ってこれはやったことがありませんが
(いつの日かやってみたいですね、女のロマンw)、
劇場の売店で売っている可愛いご祝儀袋は買ってしまいます。
以前、旅館で「お世話になります」と仲居さんに気持ちだけお渡ししたら、
非番になったとたんに銘茶を6パックもお土産に、と届けて下さって、
おーい!心づけより高価なお返しいただいちゃったよぉ~と
困ってしまったことがありました。ご親戚がお茶の農家さんだったとかで。
日本はチップの習慣がない、と言い切ることができないのは、昔は
きちんと心づけの習慣があったからで、今でもきっと花柳界の人や
日本舞踊をなさってる人や、芸能関係の方にとっては身近で、
こういった袋もたくさん使われるんでしょうね。
ヨーロッパでサービス業に就いていた頃は、お客様のお国事情をチップで垣間見たりということも多々ありました。
北米からのお客さんは、自国でのサービス業の基本給が低いからでしょう。心づけが自動的にたっぷりになります。高級なお店だったので最低でも20%くらいでした。
アラブのお客さんは心を尽くすとそれをしっかり感じとって、逆に戸惑ってしまうほど高い金額を渡してくれました。ただし接客の態度が悪いスタッフには、たとえ10万円ほどの支払いにもチップ一切なし、なんてことも。
フランス人の同僚から、フランスの客はクレームをつけてタダにさせようとする人も多いから気を付けろと言われていました。冗談を言ってくれたり気さくな方が大半でしたが、やっぱりたまにそういうこともありました。「ワインがひねている」(コルクが臭うよ!"C'est bouchonné!")と言って何度も開けさせたりしてフランス人スタッフがキレる寸前でした。私のついたテーブルじゃなくて正直ホッとしましたが、皆キッチンで「どこが臭うんだ、まったく!」と愚痴っていましたね。
ドイツ人は文句が少ない分、心づけも質実剛健。「サービス料込みだよね、じゃぁ要らないね」と確認されたこともあります。「もちろん要りません」と笑顔で答えましたが。私は好きでしたよ、ドイツのお客さん。同僚はいやがっていましたが(笑)
旅行先での相場は知っておいたほうがいいですが、ちょっと多く置きすぎて店員から馬鹿にされたりナメられるなんてことはありません。「なんていい人だ」と思うくらい(笑)
自分が接客業から退いた今、本当に親切な接客に出会うと、可愛い袋に心づけを入れたい気持ちになりますね。日本人の上品な御婦人が海外でそんな風にされてていたら、とっても素敵だろうな・・・