【レトロ建築】広島の儚げな存在
鮮やかでポップなタイルがフレンドリーな空間を演出する、2012年真夏のある日の写真。
東京→(空路)→宇部→(鉄道)→広島→(空路)→東京、と一人旅した時に、入りに行ったレトロ銭湯のひとつ。
タイルの描く風景は、
そう、宮島。
所在地は広島市南区の宇品。この建物は基礎、躯体が戦前から(施工は1925年)の物で、南区は爆心地から少し離れていたとは言え、原爆を耐え抜いた銭湯なのでした。
その名も勝利湯・・・ちょっと切ない・・・。
和やかな住宅街に「ゆ」という看板がさりげなく掲げられていました。
外界とはガラスブロックで隔てられていて、ちょっと暗くなれば、光が漏れてキュンとくる温もり。
宇品港行の広電で、いきなりお邪魔したやけに目立つよそ者の私にも、番台のおばあちゃまはとっても優しくて、遠くからはるばる、と歓迎してくれた。他のお客さんがたが帰られた時に撮影についてうかがうと、笑顔で「どうぞどうぞ記念にいっぱい撮ってください。」と。
営業時間はどんどん短くなっているそうで、いつまで続けられるかな、と話されていましたが、2014年の夏、私が再訪した少し前にその歴史を閉じてしまっていた。
あともう一回、行きたいと思っていたのに。
文化遺産や文化財となれば建物は守られる。それだってなかなか費用はかかって大変。
でもこういった、庶民的な普通の施設や民家は持ち主が頑張れなくなったらそこで終わり。
壊すのは簡単だけれど、二度と同じ建物はつくれない。
だから、とっても儚げな存在。
広島の原爆関連のおすすめ映画、そこまで有名ではないけれど・・・
若尾文子、田宮二郎が共演。美男美女の切なすぎる物語。
着物、旅情、酒場、夜行列車、私の好きなキーワードだらけですが、何度見ても泣いてしまう映画。いわゆる戦争映画にありがちな情緒は感情は無い、稀有な名作です。